メルマガ40号 AV違約金訴訟で原告(プロダクション)敗訴 判決の意義(その2)

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                 vol.040 2015年12月23日 発行

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≪ AV違約金訴訟で原告(プロダクション)敗訴 判決の意義(その2) ≫

あるプロダクションがAV出演を断った女性を相手取って損害賠償請求の民事訴訟を起こした。プロダクションの請求は棄却された。AV制作に巻き込まれ、制作現場では女性が性搾取され、性被害が横行していた問題が民事的な司法の場で公になった意義について、さらに検討を加えてみよう。
女性側は訴えられたのでやむなく受けて立たざるを得なかった裁判であるが、判決と審理プロセスの意義について以下のことも評価できると思われる。

1 AV制作現場で行われているあこぎな性搾取や性暴力が可視化されたこと
9本のAV出演を断ったら、プロダクションはその女性に対してまだ撮影してもいないDVDの損害を請求してきた。1本当たり約二百数十万円、計2400万円もの損害金の額について、二十歳やそこらの女性にそんな高額な価値があるということで、一般的には単純にびっくりしたと思う。そんなに価値があるとすれば、契約させた以上プロダクション側には性暴力行為と言われようと強行するインセンティヴが働くということを、裁判は理解しやすい形で示した。女性は納得して出演しているし、対価も得ているのだからAVには被害者はいない、という神話の一端が事実を持って崩された。

2 AVに絡めて取られた女性を縛っている“契約”について、判決はその外形的な形式ではなく実態的な内容に即して判断を下していること
 AVに絡め取られた女性は途中で“もう(出演は)嫌!”と思っても、契約しているのだから出演しないのなら、違約金を支払えと、とんでもない額の違約金の請求がされる。AV出演の実態を知った女性が抜けだそうにも抜け出せない装置の要にあるのが、女性、プロダクション、メーカーとの間で交わされる種々の契約書なのだ。契約書として形式は整っているかもしれないが、その内容は極めて不平等で、プロダクションと制作会社との実態的な力関係において女性は事実上無権利状態に置かれてしまう。これに関しては、PAPSでは何種類かの契約書を実際に入手して内容を読み込んでおり、かねてから問題視していた。
当該女性が取り交わした契約書は、自分の女優活動の営業をプロダクションに委任する形式を取っている。しかし、実態はプロダクションが受けてきた業務を女性が否応なく受けざるを得ない雇用契約に近い内容だと判決では判断した。雇用類似の契約であるなら、民法上はやむを得ない事情にある場合は契約を破棄できるとの条文(民法628条)がある。やむを得ない事情というのが、メルマガ39号で伝えた「意に反した性行為はしなくてもいい」という判断である。
 AV制作に絡め取られている女性が抜け出したくとも抜け出せないでいる要の契約書が果たす役割は極めて重大だ。PAPSでは、弁護士などに相談に行くと契約書を取り交わしている以上仕方ないねと受任してもらえない例を聞いている。形式ではなくその契約の実態や機能が問題だという判決の意義は極めて大きい。

3 プロダクション(原告)は女性(被告)に法廷での証言を求めたが、この請求を裁判所は退けていること
この裁判では、被告にされた女性は証言台に立つことになく審理が進行し結審にまで至っている。このことは、性暴力裁判としてとらえたとき極めて大きい意義がある。女性はプロダクション側から訴えられたのでやむなく受けて立たざるを得なくなったのだが、逆にAV産業側からいえば、出演拒否なんかすればこういうことになるのだぞという、ある種の見せしめ的な意味を持っていたと思われる。性暴力被害の裁判における当事者が出廷せざるを得ないとき、遮蔽措置が施される場合があるが、それでも法廷に立たねばならないこと自体の恐怖は想像に難くない。裁判所が、女性が証言台に立たなくても審理はすすめられるとの判断を示したことによって、女性はどんなにか安堵したことだろうか。この事案を一般化するわけにはいかないが、少なくとも原告であるプロダクションは、このことを理由に控訴していない事実を残したと思う。

4 被告である女性からの訴訟記録の閲覧制限の請求が認められていること
 一般的に裁判は公開が原則である。しかし、性被害の裁判においては女性の二次被害を防ぎ、プライバシーを守るためには、裁判はもとより裁判資料を公開しない原則が必要だ。この裁判においては、女性側弁護団は訴訟記録閲覧制限の手続きを取り、認められた。第1審判決が確定した後、PAPSを含めて女性側の弁護団は記者会見を開催した。この時の公開資料は、全て女性が確認をし、了承した資料のみである。

この裁判を通じて、当事者の女性が男性との性行為を撮影されることを拒否したら、契約書を盾に莫大な違約金や損害賠償を請求するAV業界の“慣行”の理不尽さが明らかにされた。AVの制作過程には、性搾取的な性暴力が存在していることが分かったのである。
プロダクションの損害賠償請求は棄却されたが、女性にとってはこれで問題が解決したわけではない。第1審の確定以後も、DVDの映像はネットに氾濫しているのだ。類似したひどい例では、2004年にバッキービジュアルプラニングというAV制作会社の関係者が、強姦致傷罪で立件され主犯格は懲役18年の重罪に処された事件があった。AV制作の犯人らは収監されたが、その“作品”はいまだに堂々と販売されているし、映像もネット上に氾濫している。
前号のメルマガの繰り返しになるが、判決確定後の課題は、意に反して撮影されたAVの販売差止め、回収命令を容易にすること、被害者からの損害賠償請求をでき易くすることなどがある。
この問題に関しては30年以上も前に既にアメリカで論じられた例がある。次号のメルマガでは、以前にアメリカで論じられた「反ポルノグラフィ人権条例」の論点をもう一度振り返ってみよう。
 
ポルノ被害と性暴力を考える会編の出版物
『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房2013.8)1,890円+送料
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メルマガ42号 AV出演拒否裁判の資料

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≪ AV出演拒否裁判の資料 ≫

AVに出演するのはもう嫌!と拒否したら、プロダクションから2460万円もの損害賠償を訴えられた民事訴訟で、訴えられた方の女性が勝訴しました。その訴訟事件に関する経過と背景をまとめた一文が掲載された雑誌、「賃金と社会保障 1月合併号」がこのほど出版されました。
なお、この裁判に関するまとまった出版物は今のところこの雑誌だけです。
この一文はPAPSの支援者の視点から書かれており、今後は法律家からの分析がどこかの雑誌から出されるだろうと思います。

賃社編集部の了解のもとに、コピー(約30p.)を実費(実費+郵送料=300円)で配布いたしますので、ご希望の方は、下記にご連絡ください。

paps@paps-jp.org
送り先の住所、希望部数を記入してお送りください。
代金は同封してある郵便振り込み用紙にてお支払いください。カンパは大歓迎です。

発行:賃社編集室、発売:旬報社「賃金と社会保障 特集AVポルノ被害 1月合併号」

「まだ可視化されていない アダルトビデオ産業の性暴力被害と若者の貧困」宮本節子
1 裁判に至る経過
2 判決の意義
 (1)原告請求棄却の論理
 (2)性暴力被害者裁判としての意義
3 若者がポルノ製作に巻き込まれるプロセス
4 ポルノ被害の特異性
5 AVに巻き込まれる若者の貧困
 (1)若者たちの貧困
 (2)被害者救済の社会的システムの貧困

資料1 本件の事実経過 弁護団
資料2 被害者の手記
資料3 AV違約金訴訟・東京地方裁判所判決文(プライバシー部分削除)
資料4 PAPS団体紹介と相談事例について

当該女性は現在20代ですが、AVに巻き込まれていったのは高校生からで、AV被害に遭う女性たちの多くは15,6才頃から兆候が始まっています。その意味では、大人の問題ではなく(大人の問題とは消費の問題として存在します、念のため)、まさに青少年の問題でもあります。また、私たちに寄せられる相談の中には、高校生、中学生も大人からの買春(俗に援助交際と言われている)に巻き込まれたりしている事案もあります。女性からの相談だけではなく、男性からの相談もあります。

多くの方々にお手に取っていただきたいと願います。

なお、雑誌本体をご希望の方は下記から入手できます。
https://twitter.com/chinshayamabuki

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メルマガ41号 週刊朝日1月29日号にAV訴訟事件が大きな記事に

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≪ 週刊朝日1月29日号にAV訴訟事件が大きな記事に ≫

明けましておめでとうございます。
緊急のお知らせがあります。

ただ今現在(1月21日)発売中の週刊朝日を是非お手にとって見て下さい。

昨年、あるプロダクションがAV出演を断った女性を相手取って損害賠償請求の民事訴訟を起こし、女性側が勝訴した事件をお知らせしました。
この訴訟事件を中心に、訴訟の背景にあるスカウトされてAV出演を余儀なくされる若い者たちの状況を取材した記事が3ページの大枠で掲載されています。
筆者は、医療ジャーリストの福原麻希さんです。
勝訴が確定した記者会見のみならず、PAPSが開催したり、関係者が講師になった勉強会などを丁寧に取材して、記事を書いています。

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メルマガ39号 AV違約金訴訟で原告(プロダクション)敗訴 判決の意義(その1)

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                 vol.039 2015年12月14日 発行

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 今年9月9日、AV出演を断った女性に芸能プロダクションが2460万円の違約金支払いを求めた訴訟で、プロダクションが敗訴する判決が下された。期限までにプロダクションが控訴しなかったので、女性の勝訴が確定した。
 プロダクションが、女性を騙してAVを撮影した行為は「集団強かん」に等しく、本来犯罪行為として刑事責任と、民事上の損害賠償責任を問われてしかるべきだ。
 ところがあろうことか、プロダクションは、自分たちで勝手に決めた「残り9本のAV」に女性が出演しないと知ると、本来得られたはずの利益や宣伝にかかった経費などと称して2460万円の違約金を要求し、裁判を起こした。違約金の支払いは、女性がよく内容を理解しないまま署名捺印させられた契約書に規定されていた。
 プロダクションは、この底知れぬあくどい訴訟を起こしはしたものの、ただ単に請求が棄却されただけの結果には終わらなかった。逆に自分たちの首を絞める結論を引き出してしまったということができる。判決は、次のように判示したからである。

「アダルトビデオへの出演は(中略)性行為等をすることを内容とするものであるから、出演者〔の〕意に反してこれに従事させることが許されない性質のものといえる」

 これは一見すると当然のことを言っているにすぎないように思われるが、女性の訴訟代理人の1人であった伊藤和子弁護士が指摘しているように、「改めて判決〔が〕このように言い切った事例はやはり画期的」である。なぜならそれは、AV出演に関しては「意に反する以上、女性側から即時〔契約の〕解除が可能」となる「やむを得ない事由」があるということを意味するからだ。

 よって、プロダクションは「これからはもう、契約書をたてに、本人の意に反して、AV出演を強制することは許されない」。逆に、「悩んでいる女性たち」は、この判決をこそ「たてに」して、「嫌ならいつでも、できるだけ早く、契約を解除」することができる。「AVはいやです。やりたくありません」とLINEに書いて伝えるか、ファックスや郵送で送りつければよい、ということだ。そうしさえすれば、少なくとも法的には「翌日から撮影現場に行く必要はない」。もっとも、相手が実力行使に出る可能性もあるので、理解ある相談機関や弁護士と繋がる必要はある(警察は今のところ「理解ある」ことを期待できない)。

 プロダクションは、法外な額の「違約金」なるものを武器にして、これまでも、そして現在も、数え切れない女性にAV出演を強要し、若い女性たちの人生を台無しにし、時には命をも奪い、自らは暴利を貪ってきた。その非道な手法の非道性を──最初からか途中からかはわからないが──見失い、それを法廷の場に持ち出したことによって、かれらはそれに法律上の正当性などひとかけらもないことを明らかにしてしまった。

 この法律上の勝利は、諦めることなくプロダクションの魔の手から逃れようとした被害女性、彼女を身を挺してサポートしたPAPSメンバー、そして伊藤弁護士を始め6人の訴訟代理人を勤めた女性弁護士によって勝ち取られた。

 これからは、この判決の主旨を私たちは大いに宣伝し、広め、活用することが必要になる。PAPSのウェブサイトに判決主旨を大々的に掲げることもいいだろう。また、警察庁・警視庁に周知し、個々の現場の警察官に教育・研修させることも必要だろう。この事例で実際に生じたように、警察に救いを求めたら「あと2本出演したどうか」などという対応をされることを絶対に繰り返してはならない。

 この判決は、しかしポルノの出演被害に遭った女性を防護する「最低ライン」を確保したにすぎないこともまた事実である。今後に残された課題としては、意に反して撮影されたAVの販売差止め、回収命令を容易にすること、被害者からの損害賠償請求をでき易くすることなどがある。

PAPSに寄せられた約100件もの被害相談は、まずは相談体制の充実・確立こそが必要であるものの、その次の大いなる目標が、被害女性を支援する法の制定にあることを示しているように思われる。
 次回のメルマガでは、今回の裁判は、性被害にあった女性たちにとっては、どのような意義があるかについて触れていきたい。

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メルマガ38号 研修会「どう守るか 性の商品化と若年女性の被害」の報告

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                 vol.038 2015年11月22日 発行

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2015年11月11日(水)(14:00~16:00)に、男女共同参画センター横浜(フォーラム)にて、横浜・公開講座&支援者向け研修として、ポルノ被害と性暴力を守る会(PAPS)主催で、「どう守るか 性の商品化と若年女性の被害児童ポルノ~AV被害まで」を開催しました。

≪参加者の状況≫
 今年はさまざまな現場で支援に当たっている人たち向けに研修を構成し、ウィークディの昼間に開催しました。何らかの支援現場というか、ポルノ被害に関わりを持っていると思われる多方面、多分野の参加者でした。児童養護施設、婦人保護施設、福祉事務所、養護教諭、弁護士、市議会議員等です。複数のメディアからの取材参加者もおりました。

≪研修内容≫
第1部 PAPS世話人の宮本節子が「性の商品化とポルノ被害」というタイトルで約25分の話をしました。宮本の話は、ポルノ被害が他の性暴力被害と比べた場合、如何に特異であるかが中心でした。最後に実際に入手した女性が取り交わす“契約書”のサンプルの説明を簡単に行いました。ポルノ被害の特異性には5点あります。

1.強姦、DV、セクハラなど社会的に認識されている性犯罪、性暴力は、私的な通常の社会生活の中で発生していることに対して、ポルノによる被害は、性産業という社会経済活動の極めてシスティマテックな仕組みの中で発生していること

2.性器や性行為を見世物として扱う“商品”や“成果物(個人的使用)”を作製していること

3.産業であるので利潤を挙げる規模の需要を前提にしていること

4.素材にされた人は、女男、年齢の別なく人間としての尊厳が深刻に侵害もしくは破壊され、この侵害や破壊の痕跡は半永久的に残り続け、他者の目にさらされるづけること。加えて、製品の素材にされた人の尊厳の回復は非常に困難な実態にあること

5.ポルノ被害は一つの製品をめぐって重層的に発生していること
 1次被害者は制作の過程で素材にされた人が被る、2次被害者は消費の過程で発生する、3次被害者はポルノ商品が社会に蔓延することによる社会環境そのものに与える被害として起こる

第2部 PAPSの相談員の金尻カズナが実際に相談にあたった事例をもとにして「児童ポルノ・AV出演の強要手口と現状」についてパワーポイントの図表を多数使用しながら具体的に語りました。金尻は90分にわたって相談者から聞き取った実際の手口や業者とのやり取りを生き生きと語りました。以下はそのごく一部です。

・相談の概況:2012年ごろからPAPSのメールにAV作製に巻き込まれて被害を被っている深刻な相談が寄せられるようになりました。その総数は、2015.9.28現在で、93件にのぼり、2015年は9月までで59件になり増加の一途の状況です。これまでの主な相談内容は、AV出演強要された(13件)、AV出演を辞めたければ巨額の違約金を払え(12件)、騙された(21件)、過去のAVを削除したい(20件)などです。

現在は、ポルノ被害者「相談支援事業」として、NPO法人人身取引被害者サポートセンター・ライトハウスとタイアップして行っています。

・私たちの日常生活に蔓延しているポルノ雑誌やポルノ情報についてパワーポイントで例示します。地下鉄丸ノ内線車内で大っぴらに広げて読まれているポルノ情報、コンビニエンスストアの店内の様子(ゾーイングなど全く体をなしません)、秋葉原のストリートで販売されている児童ポルノ、その中でも低年齢の女児の着エロもの(性行為を連想させるような姿態や性器を強調したもの)など、現在進行形の社会環境です。

・具体的な事例
○Aさんの場合(16歳):ネット上のジュニアアイドル募集ページから応募。カラオケ店の一室で面接、だんだんに露出度の高い水着に着替えさせられ、従順に応じる(この段階で断れない雰囲気がつくられてしまう)子かどうか選別される。撮影当日、撮影スタジオで初めて内容を知らされる。カメラマンと相手役の男に性行為を強要され、撮影が終わるまで帰してもらえない。プロダクションの人間は終始なだめ役として撮影がスムーズに行われるよう介入する。

この被害は、従順に応じた子が問題なのか、子どものネット使用を監視していなかった親の問題なのでしょうか。私たちが見落としているのは、このようにして製作される“商品”を買う側が常に免罪されている現状が問題ではないでしょうか。

○Sさん(15歳)の事例とその対応:義父から性的虐待を受け家庭は安全と安心を保証されていないので家出し、たまに家に戻る。繁華街などで買春者に出会い、性行為を求められる生活の繰り返し。避妊具なしの性行為も行われる。対価は、泊めてもらう、2000円ほどなど。児童相談所や児童養護施設には絶対に行きたくない。過去には、教育指導の先生、児童相談所などが関わっているが、差しのべられた手をつかむことができずに、周囲の大人からは孤立してしまった。今は、私たちの相談ラインと電話で繋がっている。 “今、援交してる”などの実況ライン、“リストカットした”とその写真、“今から(ホーム)に飛び込む”など、内容は極めて重たい。しかし、私たちの対応は、決して責めたりお説教したりしないでひたすら聴くことに徹し、細く繋がった糸が切れないようにしています。

○以上は児童の例ですが、大人の例ももちろん沢山あります。事例は割愛しますが、少しでも金銭の授受が発生すればどんな壮絶な被害を受けても、加害者は免罪されてしまうのでしょうか。AVプロダクションやAV製作会社が行っていることは、女性に対して労働者派遣法や職業安定法上の「公衆道徳上の有害危険業務」を強いていることになり、判例あるのですが、実際にはこれらの法律はあまり機能していません。

○最後に、今、私たちにできることは何でしょうか。私たちの日常生活にあふれているAVには甚大な性被害が存在している、まずは、この実態を知ってほしい。実態を知ったら周りに知らせて欲しい。みんなが立ちあがれば必ず、ポルノ被害を傍観している今の社会は変わります。

研修会のレジュメは残部がありますので、ご希望の方はお申し出ください。お送りいたします。
AV出演強要裁判に関しては次号にてお伝えします。 

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メルマガ32号 横浜・公開講座&支援者向け研修について

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                 vol.037 2015年10月21日 発行

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メルマガ32号 横浜・公開講座&支援者向け研修について

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 秋も深まってまいりましたがみなさまお元気でお過ごしでしょうか?メルマガも5月以来ご無沙汰をいたしておりまして5か月ぶりのご案内となります。

 パップスは現在相談支援事業チームを組んで相談支援を行っておりますが、その中で、2014年、アダルトビデオの出演を拒否した女性が、所属プロダクションから2460万円の違約金を請求されるという事件がありました。東京地裁は本人の意に反してAVに出演させることは許されないとして原告の請求を棄却するという画期的な判断を下しました。これは相手方が控訴期限までに控訴しなかったため判決が確定しました。(9月29日弁護士とともにパップス世話人が記者会見、多くのメディアに取り上げられました。)

なお、この裁判の詳細についてはメルマガで改めてお伝えします。相談支援事業からみえてきたことが沢山あります。「講座&支援者向け研修」を下記のように行います。多くの方のご参加をお待ちしております。

 公開講座&支援者向け研修 開催のお知らせ
「どう守るか 性の商品化と若年女性の被害 児童ポルノ~AV被害まで」

日時:2015年11月11日(水)14時~16時
会場:フォーラム・男女共同参画センター横浜 2Fセミナールーム
    JR・横浜市営地下鉄:戸塚駅徒歩5分
資料代:1,000円(学生の方は申し出て下されば500円)
申込:事務局までメール(paps@paps-jp.org)かFAX(03-6304-2564)
   まで お名前、所属、連絡先を書いてお申し込みください

保育:1歳6か月~未就学児(予約制・有料)
※お問い合わせは電話045-862-5052へ 
企画実施:ポルノ被害と性暴力を考える会(paps)
2015年度「公募型男女共同参画事業」

チラシはこちら
https://paps-jp.org/uploads/2015/10/20151111.pdf

アダルトビデオやポルノは見たい人が楽しんでいるだけで被害者などだれもいな
いと思われていました。はたしてそうなのでしょうか?

これまでパップス(ポルノ被害と性暴力を考える会)が電話とメールで受けてきた90件以上の被害相談から、少女、女性たちの性が脅かされている現状をお伝えします。第一部は基本的な視点をもとに、第2部は実際に対応してきた相談事例をもとにご一緒に考えたいと思います。直接子どもや女性の支援に当たっている支援者のみなさん、また関係者のみなさん、この問題に関心のある市民の皆さん、実態を知ることからすべては始まります。是非ご参加下さい。

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メルマガ31号 無権利状態におかれている出演女性~被害者支援活動からみえてきた実態

【無権利状態におかれている出演女性~被害者支援活動からみえてきた実態】

アダルトビデオ(AV)に出演した女性たちから、本会に対して多くの被害相談が届いており、本会は被害者の支援にあたってきました。

支援活動の中から、AVに出演した女性たちが、一定額の出演料を受け取る以外は、一切無権利状態におかれ、そうすることでAVメーカーとプロダクションが巨万の富を得ている搾取構造がみえてきました。簡単にその問題点をお伝えしたいと思います。

1.AV業界は、サイバー・ポルノ(インターネット上のポルノ)の大普及により、常に新たな若い女性をAVに主演させねばならず、その気のない女性を、虚言・甘言・脅し・すかしを使って確保しています。そのさい、かれらは、複数の業者で役割分担し、責任の所在を分散させて、女性を惑わします。

まずは、女性を虚言・甘言を用いてスカウトし、「専属モデル」として囲う「(モデル)プロダクション」という会社が存在します。そして、プロダクションが派遣した女性を使って、実際にAVを制作・撮影・製造し、販売する「制作会社(メーカー)」が存在します。

2.「プロダクション」と「メーカー」の存在自体は既知の事柄でしたが、実際には、プロダクションがさらに二重構造になっている場合があります。まず、女性をスカウトし「専属モデル」として囲い込む第一プロダクション。第一プロダクションとの専属モデル契約には、AV出演が含まれていない場合もあります。しかし、第一プロダクションは、女性とAV出演契約を結ぶことを目的とした第二のプロダクションとグルになっており、たとえば別室に第二プロダクション関係者が控えており、その場でAV出演契約締結を再び虚言・甘言を弄して説得します。あるいは、第一プロダクションは、即座に「パンチラ」撮影や宣伝用ヌード写真撮影などを半ば強要することで、女性が第二プロダクションとAV出演を同意するための先鞭をつけたりします。

3.さて、そのようにしてAV出演を「説得」された女性は、プロダクション・制作会社と複数の契約書を取り交わすことになります。

契約書には、女性がいったん業者と出演契約を交わした後で翻意し出演を拒否したり、出演した後で公開・販売を拒否したりすると、「違約金」を支払わねばならないことが明記されています。違約金の額は契約書に明示されませんが、ただ契約を交わしただけで撮影を行なっていなくても数百万円、撮影を数本行なっていると一千万円を超える金銭が要求されることが珍しくありません。この違約金制度が、契約を十分に納得せずに交わしてしまった女性たちを、がんじがらめにしており、泣く泣く撮影に応じたり、「作品」の販売に応じたりすることを余儀なくしされています。

また、違約金の規定以外にも、出演したAVに関する一切の権利(著作権など)を永久に放棄することが含まれています。これにより、業者が最初の「作品」を二次使用、三次使用しても、出演女性は最初の出演料以外何の報酬も得ることができません。さらに、撮影は本当の性交を前提にしていますので、女性は常に妊娠、性病感染の危険にさらされます。しかし、防止や予防の義務は女性に課せられ、制作現場を牛耳るメーカーは責任を取らない内容になっています。

4.自らがいわば「主役」として出演した「作品」に対して、およそ一切の権利を放棄し、逆にあらゆる不利な義務を負う、というような契約を、「AV」女優ではない「一般」の女優・俳優が負うことはありえるでしょうか? こんなひどい契約がほかの俳優業でまかり通っているとはおよそ考えられませんが、この点は、一般俳優の場合と比較する必要があります。いずれにせよ、こうした契約は、法の一般原則である「信義則」(民法2条)や「公序良俗」(民法90条)に反するのではないか、と思われます。

5.さらに興味深いことは、プロダクションと制作会社の関係です。プロダクションは、制作会社が安心してAVを制作・撮影・販売し収益を上げられるように、女性の管理を一手に引き受けます。女性の管理には、「苦情、紛争解決」から、女性が放棄させられた権利を実際に行使しないようにすることまで含まれます。

他方で、制作会社は、最初に「出演料」をプロダクションに支払ってしまえば(プロダクションはそこから女性へのギャラを支払います)、出演作そのものはもとより、その二次・三次利用から生じるあらゆる利益をほぼ独占することが保証されています。日本のAV作品はグローバル市場で取引きされますので、莫大な利益を生みます。そのすべてを制作会社は懐に納めるのです。

6.このように若い女性を食いものにするポルノ業界の実態や、女性の無権利状態は、明らかに不当なものです。しかし、ポルノ業界のあり方や出演女性の無権利状態を改善し、「よりよいポルノ業界」を求めればすむ、という問題ではありません。

そもそも、女性の身体を性的に使用する権利を買い取って、AVを制作・撮影する行為そのものが、女性の基本的人権を侵害し違法である、つまりAV制作のための契約そのものが違法無効である、と思います。そのような主張を可能にする人権論を開拓し、社会的に確立することが最終的な課題です。

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メルマガ30号 女性差別撤廃条約についての日本政府報告書への意見

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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
                 vol.035 2015年04月04日 発行

【ポルノ被害と性暴力を考える会】
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≪転送歓迎≫
【女性差別撤廃条約についての日本政府報告書への意見】

ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS) は、昨年、日本女性差別撤廃条約 NGOネットワーク(JNNC)に参加し、国連に設置されている女性差撤廃委員会に日本国内におけるポルノの実態について意見を報告する機会を得ました。

JNNCは2002年に結成され、女性差別撤廃委員会において日本の状況が問題として取り上げ、いろいろな面から論じたり批評したりするときに、NGOとして意見を述べてきました。なお、JNNCは現在50あまりの団体が参加しており、日本国内の女性差別の状況とその解消に向けて多面的な論議がなされています。

2014年に日本政府は第7次・第8次の報告書を提出し、2015年7月に開催される女性差別撤廃委員会においてこの報告書が審議される予定です。

女性差別撤廃委員会の審査の前に「事前作業部会」が持たれます。JNNCは本審議と作業部会へ向けてのNGOレポートの取りまとめをしています。

PAPSとしては、JNNCを通じて日本国内におけるポルノの野放し状態について注意を喚起しようとしています。今後女性差別撤廃委員会にJNNNCを通してPAPSの意見がどのように反映されていくのか論議が尽くされていない段階ではありますが、PAPSとしての女性差別撤廃条約第6条に関連してポルノ被害について基本的な意見を表明いたします。

【 女性差別撤廃条約 第6条関連の要望(PAPS) 】
【意見】児童買春・児童ポルノ禁止法によって、児童ポルノは児童の権利を著しく侵害することを根拠に児童ポルノの制作・提供・所持等を禁止しているが、成人女性の身体を使用して作製頒布されるアダルトビデオにおいても、下記に述べる理由で、女性に対する著しい権利侵害が認められる。アダルトビデオの需要の抑制および被害女性の救済のための国内法の整備について検討されたい。

【理由及び背景】
・実写のポルノグラフィは、生きた女性の身体を性的に使用する権利を、プロダクションがメーカーに販売し、メーカーが実際に女性を性的に使用することによって制作される。その意味で、実写ポルノの制作は、女性の性的売買(セックス・トラフィッキング)の一種である。ポルノグラフィは、「表現」となる前に、不可避的に性売買が行なわれることに目が向けられる必要がある。

・今日、日本で制作・販売されている実写ポルノの大半は、(かつてのような擬似セックスと違って)実際に女性が、男性と性交させられている。その意味で、実写ポルノは制作過程で、実質的な意味において、売買春が行なわれることによって制作されている。

・今日、非常に多くの若い女性(非常にしばしば未成年を含む)が、だまされ、脅され、強制されてポルノ制作に使用される被害にあっている。その正確な規模と実態はまだベールにおおわれて不明だが、ほぼ唯一の支援活動を行なっている民間グループ(PAPS) に、被害相談が押し寄せている。だがそれも氷山の一角であると思われる。

・CEDAWでは、これまでも、ポルノグラフィがジェンダー・ステレオタイプを強化し、女性(とくに懸念されるのは少女)の自尊心を傷つけていることが指摘されてきた(5条関係)。いいかえると、ポルノグラフィが男性の暴力的で支配的な性役割とセクシュアリティを、そして女性の従属的な性役割やセクシュアリティを強化しているおそれである。そしてその懸念は、インターネットの普及が可能にした(紙媒体の時代をはるかにしのぐ)ポルノグラフィの大量制作・大量流通・大量消費の時代をむかえた今日、ますます深刻化している。

・日本政府は、ようやく児童ポルノの単純所持を禁止し、児童ポルノの需要抑制に踏み込んだ。また、いわゆる二次元児童ポルノ規制の是非についても、議論が続いている。後者の規制は、「ポルノの消費被害(ポルノの使用消費者が、ポルノを使用消費することによって、ポルノで描かれている集団や個人に害を与えることによる被害)」を認めることにつながる。

・こうした児童ポルノ規制における進展と議論を、単に「児童」ポルノに限定させることなく、より大きく本質的である「成人」ポルノ、つまりポルノグラフィ一般に広げていくことが、性差別の撤廃をめざす日本(だけでなく世界の)市民社会と政府にとっての重要な課題である。
(参考)6条:締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法の含む)をとる。

■ポルノ被害と性暴力を考える会編の出版物
『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房 2013.8)1890円+送料
『証言 現代の性暴力とポルノ被害 ~研究と福祉の現場から~』
東京都社会福祉協議会 2010.11)1905円+送料
パンフレット「今は、まだ名前のない性被害があります」カンパ200円以上+送料
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申込方法
fax 03-6304-2564 又はmail paps[at]paps-jp.org [at]を@アットマークに置き換えてください
住所・氏名・希望部数記載の上、上記ファックス又はメールにてお申し込み下さい。
代金の授受:振り込み用紙を同封しますので、本が届き次第なるべく早くお支払い下さい。
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メルマガ29号 売春防止法改正(売春防止から女性支援へ)

≪転送歓迎≫

【売春防止法改正の動き】
 最近、売春防止法の改正を巡っての動きが活発になってきました。
売春防止法は女性の権利擁護に携わっている弁護士であってもその内容を詳しく知らない人がいるというわずか40条の極めてマイナーな法律です。存在としてはマイナーな法律ですが、性を扱っているという点で非常に重要な法律の一つです。
1956(昭和31)年に成立し、成立当時からザル法と揶揄され、法律の根幹をなす理念部分がまったく改正されないままに約60年が経過してしまいました。現在では、法律の存在自体が女性の尊厳や権利を甚だしく侵害する旧弊な法律になってしまっています。
 壮大な社会的装置である買売春問題を扱う法律にもかかわらず、約60年間も放置されてきたために今となってはどこから手をつけていいのか分からないくらいに課題は山積しています。山積している課題のうち代表的なものをいくつか上げます。

課題その1 女男の社会的経済的その他もろもろの不平等を前提とするから成立する買売春ですが、女男の平等推進の理念がまったくない法律です。

課題その2 売春をしている女性が買売春を助長する行為をしたとして処罰や更生、保護の対象になっており、買う側の客の姿がまったく見えません。従って、女性の性を買う客は、どんなに頻繁に女性の性を買っても何のおとがめなしでのうのうとしています。悪いのは女性と業者という論理で構成されている法律です。

課題その3 売春を助長する行為で有罪判決を受けた女性が執行猶予になった場合は、その女性は将来売春を助長する行為を侵す恐れがあるとして“補導処分”に附し婦人補導院(八王子少年鑑別所に併設)に収容することができます。これは明らかに保安処分の一種で憲法違反です。

課題その4 買売春は性を売買する壮大な社会的装置となっているにもかかわらず、国家や地方自治体の行政責務がまったく問われていません。

課題その5 法律用語として現在では不適切な用語(収容、指導、要保護女子、婦人等)が使われています。女性たちが婦人保護施設を利用した場合、彼女たちは“収容”されているのです。

 売春防止法を主たる根拠法として設置されている婦人保護施設などで構成される全国婦人保護施設等連絡協議会(全婦連)では、ながらくこの法律の改正を求めることに消極的でした。一部の有意の現場の人々が改正を訴えているに過ぎない状況が続いていました。
昨年の全婦連の全国大会において、これら一部の人々の動きがようやく実り、売春防止法改正を求める総意が決議されるに至りました。
その後、法改正を求める総意を実現すべく全婦連として、上川陽子法務大臣、塩崎恭久厚生労働大臣、有村治子内閣府特命担当大臣あてに、「売春防止法に係る要望書」を提出しました。

 2015年1月24日(土)に全婦連の内部組織の一つである東京都会福祉協議会婦人保護部会が主催するシンポジュームが都内で開催されました。
 シンポのタイトルは「要保護女子の収容・保護・更生から女性の人権へ~今こそ変えよう売春防止法~」でした。法律で使われている差別的な用語をあえてタイトルにすることで改正の必要性を訴えています。シンポジストは、お茶ノ水女子大名誉教授の戒能民江さん、弁護士の角田由紀子さん、千葉県サポートセンター所長で全婦連副会長の浅野由美子さんが登壇しました。
戒能さんからは2012年に厚生労働省に設置された「婦人保護事業の課題に関するあり方検討会」座長としての論議を踏まえて、現在の婦人保護事業全体の状況の解説とともに今後のあるべき姿として、行政による措置・指導・援助から権利体系として法を整えることによって「あらゆる女性たちの人権保障」を求める提言がありました。

 角田さんからは、2013年に日弁連として取りまとめた「刑法と売春防止法の一部削除を求める意見書」を踏まえながら、売春防止法と裏腹の関係にある風営法の性風俗関連特殊営業の問題点を指摘しました。その上で、女性の人権擁護を明確に定めることを提案されました。
 浅野さんからは、売防法による婦人相談所機能とDV防止法による配偶者暴力相談支援センターの機能を併せ持つ現場の状況を伝え、押し寄せる相談に対応しきれなくなくなっている現状について訴えがありました。

恐らく、全婦連としては今後順次関係各大臣に直接面談して改正の必要性について要望する動きをさらに活発化させることになると思われます。
 売春防止法改正をめぐって、目が離せない動きが活発化していることをお伝えしましたが、今後順次この動きについてはメルマガでお伝えしていきます。

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メルマガ28号 PAPSに寄せられるAV出演被害について

≪転送歓迎≫
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
 とはいえ、暮れの総選挙の結果といい、1月に入って8日にパリで起きたテロ事件といい、希望を探すのが困難な政治・経済・社会の状況ではありますが、魑魅魍魎(ちみもうりょう=私利私欲のために悪だくみをする者のたとえ)がうごめくパンドラの箱の最後に残っていたものが“希望”であったという故事をこのような状況だからこそ信じたいと思います。最後に残っている“希望”を見つけ出すのは私たち一人ひとりのなすべきことだと思うのです。そしてその“希望”を見いだした一人ひとりがこんな“希望”があるよーと伝えあうことが大切ではないでしょうか。

 ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)が結成されたのは2009年の春でした。その前年に行った理論社への抗議運動を加えれば、営々と足掛け8年にわたって、ポルノには被害があるのだ、表現の自由の問題なんかじゃない、ポルノは女性(女性とは限らないのですが)に対する重大な人権侵害だと訴え続けてきました。

 現在、私たちは、特別な窓口を設けて被害者相談に乗り出しているわけではありませんが、ホームページやそのほかの手段により私たちの活動を知った被害女性や被害男性から直接被害救済のSOS相談が寄せられるようになりました。

 具体的な被害相談を通じて芸能プロダクションや制作会社、ネットプロバイダーの悪辣極まりない手口も次第に分かってきました。どんなに悪辣であるかはこのメルマガを通じておいおいお伝えしようと思います。

 私たちが具体的な被害として認識している被害はどのようなものでしょうか。極めて甚大な被害として、ネット社会では、一旦流出したポルノ映像はもはや消去できないという被害です。

 ポルノを見て楽しむのは趣味の問題で個人の自由だ、という意見があります。また、ポルノは視覚表現の一種なのだから、表現の自由は守られてしかるべきだという意見もあります。私たちは、いや、そんなことはない、ポルノは表現の問題ではなくて、人権侵害の問題だ、ポルノには被害者がいる、ということを訴えてきました。

 ポルノが紙媒体で広がり、“楽しんで”いた時代はもはや極めて牧歌的なものになりました。私たちのところに寄せられる相談の究極の目的とするところは、ネットに流されている自分の映像を消去して欲しいというものです。しかし、ネットの特質上、この願いを適えることができません。せいぜいのところ、業者のネット頒布を差し止める働きかけぐらいしかできません。もちろん、頒布差し止めを求めて業者と交渉するだけでも容易なことではありませんし、うまくいくとは限らないのです。

 相談を寄せて来る女性たち、男性たちの最大の苦しみは、ネット上の自分の動画や写真がいつ友人知人、家族にばれるか分からないという際限のない悩みにさいなまれることです。また、見ず知らずの人間であっても誰かが自分の映像を今この時にも見て楽しんでいると考える苦しみです。この苦しみには終わりがありませんし、救いがありません。

 ポルノを見て楽しんでいると思っている人たち、ポルノには被害者がいないと思っている人たちは、そのポルノは生身の人間の身体を使用して作成されているのだということを忘れています。その生身の人間は、合意し、対価を得ているのだから良いではないかという意見があります。その合意は正当な状況下でなされた真っ当な労働契約でない場合もあります。ポルノを見て楽しんでいる人たちはこのポルノが正当な労働契約の元で作られているものだとどのようにして識別しているのでしょうか。その対価はネット上に半恒久的に流され続ける状態に対する正当な対価が支払われているとなぜ分かるのでしょうか。

 自己の性的欲求充足のために他者の了解を得ることなくその身体を性的に利用してはならないと考えます。

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